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BGC Argoフロートは、海水中の粒子に光を当て、後ろ向きに散乱した光を測ります。そこから求める波長700 nmの粒子後方散乱係数(bbp700)は、粒子が光をどれだけ強く後方へ散乱するかを表す量です。鉛直プロファイルは粒子の多い層を探す手がかりになりますが、粒子の個数や生きたプランクトンの量を直接表す値ではありません。

酸素、クロロフィル、硝酸塩、pH、光との役割の違いは、BGC Argoは何を測る?で確認できます。

bbp700は何を測った値なのか

後方散乱センサーは海水に光を当て、特定の後方の角度へ散乱した光を検出します。この光には粒子だけでなく海水そのものによる散乱も含まれるため、データ処理で海水の寄与を見積もって差し引きます。そのうえで、測定した角度の散乱から、後方半球全体への粒子による散乱を表す係数へ換算します。こうした処理は、Dall’Olmoほかの研究(2023年、英語)で説明されています。

名前に含まれる「700」は光の波長で、700 nm(ナノメートル)を意味します。係数の単位はm⁻¹で、光の進む距離あたりにどれだけ後方散乱が起こるかを表します。値が大きいほど、その波長の光が粒子によって強く後方へ散乱されています。

海中には生きた微生物だけでなく、生物由来の破片や無機物の粒子も漂っています。光の散乱は粒子の大きさや組成によって変わるため、bbp700が2倍になっても、細胞数や粒子の質量が2倍になったとは限りません。粒子の性質が炭素量の推定に与える影響は、Koestnerほかの研究(2022年、英語)で詳しく調べられています。

海水中へ当てた光が粒子によって検出器側へ散乱する仕組みと、厚みのある高値の層および孤立した鋭いピークを示すbbp700プロファイル

検出器が測るのは特定の角度へ散乱した光です。右側のプロファイルには、そこから求めたbbp700を示しており、下へ行くほど圧力が高く、右へ行くほど後方散乱が強くなります。

厚みのある層と鋭いピークは分けて解釈する

隣り合う複数の測定点で高い値が続いていれば、後方散乱が強い層として捉えられます。層の上端と下端、水温・塩分が変化する位置との関係、前後のサイクルでも同じような層が見えるかを比べると、一つの粒子をたまたま捉えた信号との区別に役立ちます。ただし、フロートはサイクルの間にも移動するため、分布の変化には別の水域へ入った影響も含まれます。

これに対して、プロファイルの狭い範囲だけで値が急に高くなる「スパイク」は、グラフ上の形から原因を特定できません。粒子の集合体がセンサーの狭い測定範囲を通過した場合にも、一時的な大きな値が現れます。また、Haëntjensほかの研究(2020年、英語)では、中層の生物に関連する光学信号のスパイクが報告されています。著者らは、生物がフロートのセンサー光に引き寄せられることが、こうした信号に寄与した可能性を指摘しています。機器やデータ処理の問題も考えられるため、鋭いピークをすべて削除することも、すべて沈降中の有機物とみなすことも適切ではありません。

国際BGC Argo計画の懸濁粒子の解説(英語)では、繰り返し得られる光学プロファイルを粒子輸送の研究にどう使うかを紹介しています。プロファイルを解釈するときは、全体の緩やかな変化と局所的なピークを分けて捉えます。

クロロフィルと同じ深さで比べる

粒子後方散乱の信号にはさまざまな粒子が寄与する一方、クロロフィル蛍光は光合成色素に由来します。同じ圧力の測定値を比べると、それぞれを単独で調べる場合より、解釈の手掛かりが増えます。

  • 両方が同じ層で増える:植物プランクトンの生物量が増えている可能性があります。
  • クロロフィルだけが増え、bbp700には同程度の増加がない:弱い光に順応した細胞で、炭素量に対する色素の割合が増えている可能性があります。
  • bbp700だけが増え、クロロフィルに極大がない:藻類以外の粒子が寄与している可能性がありますが、粒子の性質、クロロフィル蛍光に影響する生理状態、データ品質も調べる必要があります。

この比較は、両方の変数に利用できる測定値がある範囲で行います。色素の極大と生物量の極大の違いや、日中に蛍光が弱まる影響については、クロロフィルの鉛直分布と深層クロロフィル極大で説明しています。

炭素量を求めるには、別の推定が必要

後方散乱から粒子状有機炭素(POC)の濃度を推定する研究では、光学測定と採水による炭素量の測定を対応させた経験式を使います。これは単位換算ではなく、どのような粒子、波長、環境条件から得られた式かによって、適用できる範囲が変わります。Koestnerほかの研究(英語)では、クロロフィルも使うことで粒子群の違いを推定に反映する方法が検討されています。

POC濃度が示すのは、単位体積の海水に含まれる炭素の量です。一方、沈降による炭素フラックスは、単位面積を単位時間に通過する炭素の量を意味します。濃度からフラックスを求めるには、沈降速度などの輸送に関する情報や、繰り返し観測したデータを使うモデルが必要です。Estapaほかの研究(2017年、英語)では、フロートを使う推定手法と、観測間隔や水平輸送の影響が整理されています。

炭素循環を考えるうえでは、粒子と酸素の分布を併せて検討することも役立ちます。海の中の酸素はどこに多い?では、光の届く層より下の酸素が呼吸と換気によってどう変わるかを扱っています。粒子も酸素も、海水の循環と結び付けて考える必要があります。

数値を解析する前に品質を確かめる

粒子量や炭素量を計算する際には、Argoの元データで後方散乱の品質管理フラグと処理状況を確認します。リアルタイムの検査では、原因を特定できなくても、不自然な形のプロファイルにフラグが付くことがあります。後方散乱の品質管理に関する研究(英語)で用いられるフラグ3は、「おそらく不良」で、専門的な確認が必要なデータを意味します。

OceanGraphでは、採用したBGC変数の品質管理フラグが4または9の値を公開時に除外します。このため、グラフに点があるだけでフラグ1または2の値と判断することはできません。変数の選択と値の除外はData Filtering Policy(英語)にまとまっています。欠損値も粒子濃度0とは区別して扱います。データモード、補正済み変数、フラグの基本は、Argoデータの品質管理を参照してください。

OceanGraphで粒子のプロファイルを見る

  1. 海域と期間を絞って検索し、Only profiles with BGCを有効にします。このフィルターはBGC変数を一つ以上含むプロファイルを対象にするため、選んだプロファイルに後方散乱があるかを個別に確認します。
  2. BBPのグラフを選びます。OceanGraphではbbp700の値を使い、軸にはBBP (m⁻¹)と表示します。
  3. 実際に測定値がある圧力範囲で曲線を確認し、高い値が続く層と孤立したピークを分け、欠損の位置も確認します。
  4. 同じ圧力範囲のクロロフィル、水温、塩分と比べ、前後のサイクルとフロートの位置の変化も調べます。

検索とダウンロードの操作はSearch and Bookmarkガイド(英語)で確認できます。PCからサインインすると、Analysis LabのVertical Profiles(英語)で、ダウンロードした複数のJSONプロファイルを使って、粒子層の深さや持続性を比較できます。